南極半島

〜ゴミ大陸・南極〜


 ◆関連情報は、藤原幸一著
 「南極がこわれる」(ポプラ社)




短い夏が過ぎ去ろうとしていた。
クリスタル色の硬い氷が南極半島に漂着し、
ジェンツーペンギンたちは
もうすぐ繁殖地を後にする


オオカミのように吠えたりしません。
これはジェンツーペンギンの「大あくび」なのです


「あーあ」
と、思わず僕ももらいあくび。


夏の心地良い日差しに、あちこちでジェンツーペンギンたちが大あくびをしていた。
2日前に船で南米を出港したばかりなのに、もうここは南極。
といっても南極半島であり、半島の付け根まで、まだだいぶかかる。


体長75センチにもなるジェンツーペンギン。
ペンギンの中でも大型で、南極半島で最もよく見かける種類である。
黒とオレンジが配色された美しいくちばし。
それと、淡いブルーが混じった黒が喉から背中に見えて、とてもエレガントないでだちをしている。



ペンギンの可憐さとは裏腹に、南極半島の周辺はゴミだらけであった。
南米から近いので物資の輸送が便利ということも手伝い、各国の基地が密集している。
基地から生まれてくるゴミは、南極ですべて処理しきれず、野積み状態になっていく。
いずれは南極から撤去されるはずだが、それも各国の経済状態次第だ。
南極でのゴミ問題は、今世紀初めに建設された捕鯨基地から始まる。
捕鯨基地は30年前に閉鎖されたのだが、ずっと野ざらし状態で、荒れるがままのゴミと化しているのである。
基地は海から近い平坦地にあり、元はといえば、ペンギンの繁殖地であったところがほとんど。ところが近年、まるで廃棄物の撤去を免れるように、捕鯨基地などがただ古い歴史の遺物というだけで、南極条約の重要文化財に登録されだした。


南極は「地球に残された最後のフロンティア」だったのでは?「地球最後のゴミ捨て場」にならなければよいのだが。

ノルウェーが1931年まで、ここを捕鯨基地として使用していた。
捨てられた基地はそのまま南極でゴミと化している


閉鎖され、今では夏に観光客が訪れるだけとなった
ポート・ロックロイ南極基地。
人間が去った後に、
ジェンツーペンギンたちが再び戻ってきた


 45年間もの間、ゴミは分別することなしに基地内のペンギンの生息地に穴を掘って埋め られていた。


 おそらく数千トンものゴミがいまだに手付かずに地中に残されている。


 長い 間、土壌や海辺を汚染し続け、浄化作用が弱い南極の自然では、いったん汚染された土壌 での植生の再生やペンギンが再び元の繁殖地として利用することはむずかしい。

焼却され放置されたままの電池
藤原幸一


キャタピラを歩くアデリーペンギン

鉄くずの山へ向かう3羽

巨大なメタルゴミの上を移動中
ゴミ場を降りる3羽
ゴミ場にたたずむ3羽とコロニー遠景
ゴミに立ちすくむ1羽

ゴミ置き場で負傷したペンギン。
針金のようなものがわき腹に刺さって出血している。

1915年に座礁した、ノルウェー捕鯨船

ノルウェー捕鯨船内に残された鉛の先端部分

ゴミから海へ

ゴミに上陸する3羽のアデリーペンギン


[YouTube] ゴミのなかを歩くペンギン

ゴミのなかを歩くペンギン


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■写真展のお知らせ
    「憧憬の南極」(鈴木豊子 写真展)

      
2008年8月7日(木)〜8月12日(木)
      10:00〜18:00
      初日は正午〜、最終日は〜17:00
      <会場>サンピア明石3F アートホール明石
       明石市相生町2丁目9-20
       tel. 078-911-2250




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