南アフリカ

〜油まみれで死んでいく〜


 ◆関連情報は、藤原幸一著
 「ペンギンの歩く街」(ポプラ社)

「おーい、大丈夫かい」。アフリカペンギンたちは心配そうに、僕をのぞきこんだ。ここは南アフリカの海岸。この後もぞくぞくとペンギンたちが僕の周りに集まって、何かを語りだした

アフリカにもペンギンがいる。
名前はアフリカペンギン。
唯一アフリカだけに暮らす種類である。
いちばん近い種類でも、7000キロも離れた南米に行かなくてはならない。
アフリカペンギンは別名ケープペンギンとも呼ばれている。
「まー可愛い」の容姿と、
「君らとなれなれしいんじゃないかい」と思わず言ってしまう、ふてぶてしい態度。
この態度、まったく南極のペンギンと同じである。
この憎めないペンギンたちが近い将来、
「絶滅するらしいぞ!」
と聞かされ、僕は憂鬱になった。


「ここの砂風呂は最高だね」と、ちょっと眠そうな親子。実は大好きな森が減少して、仕方なく灼熱の砂浜で子育てをしているのです
今世紀初めに150万羽を数えたペンギンたちは現在、20分の1以下までに生息数を減らしてきているという。
原因はいろいろ取りざたされていて、「人間による卵の乱獲」や「生息地の減少」なども、かなり深刻ではある。
だが、最も気がかりなペンギンたちへの脅威は、海での「油流出」。
船から油が漏れ出す事故が、毎日のように起きているのだ。
そして、毎日のようにペンギンが保護されている。
6年前の船舶座礁では、一気に1万羽ものペンギンが油まみれになって助けられた。


飛べないペンギンたちは、海岸と何十キロも沖合いにある漁場を、ほぼ毎日、泳いで往復しなくてはならない。
海面に漂う油から逃れるすべはないのだ。


ペンギンの保護団体の地道な努力も、焼け石に水。

「今日たとえペンギンを洗浄できても、きっと明日には油まみれになった別のペンギンがやってくる。救助だけではどうしようもないよ」。

ボランティアの嘆きである。

浜辺で油まみれでいるところを救助されたアフリカペンギン。保護団体の施設で洗浄され、体力が回復しだい自然に戻される
チャーリーチャップリンではありません。これから日帰りで漁に出るところです

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