世界気象気候(WMO)と米国航空宇宙局(NASA)は1998年9月末、オゾンホールの面積は南極大陸の2倍に達し過去最大規模になったと報じた。

「人間だけじゃなくペットや家畜までが皮膚ガンに冒されだしている。
南極の生態系にも何か異変が起きているようだ」

1998年11月、オーストラリアの友人からこんな不気味な情報が寄せられた。過去最大のオゾンホールが発生し、12月を迎えても終息しない南半球各地を取材してみた。
南極オゾンホールの仕組み南極オゾンホールの仕組み
南極オゾンホールの仕組み南極オゾンホールの仕組み
オゾンホールは、地上で排出されるフロンなどが原因となり、上空にあるオゾン層が破壊され薄くなる現象をいう。
オゾン層とは、地表25〜30km上空のオゾン濃度が高い層のことであり、オゾン層は地球の保護膜の役目をして地表の生物に有害な紫外線が届かないように働いている。もし、1%のオゾン濃度減少があると、その結果3〜6%の皮膚ガンが増加すると予測されている。近年、ついに北極を始め世界各地で紫外線の増加が確認され始めた。

オーストラリアではビーチで子どもを遊ばせる時、服や帽子、さらに日焼け止めクリームを使うことが絶対条件だ。

紫外線の増大で最も大きな影響が予測されているのが、オーストラリアとニュージーランドだ。
もともと紫外線に弱い皮膚を持つ白人が人口の多数を占め、世界で最も皮膚ガンの発生率が高くなっている。


もしオーストラリアで一生を過ごすとすると、3人のうち2人は、皮膚ガンに・・・・・・ほどだ。
しかも、さらに皮膚ガンは増え続けている。


オーストラリアでは、政府や民間企業が皮膚ガン予防に・・・・・・をつぎ込んでいる。


「ビーチでは長袖を着用(スピップ)し、日焼け止めクリームを塗り(スロップ)、そして帽子やサングラスを必ず使おう(スラップ)!」


という『SLIP!SLOP!SLAP!大キャンペーン』を行っているほどだ。


「犬や猫に皮膚ガンが以上に増えているんだ。
この病院だけでも過去10年間で、年率・・・・・・。何かが起きてる!

もし、上空のオゾン層がどんどん減少し、そして地上に降り注ぐ紫外線が増え続けたら……と想像するとゾッとするよ」


とメルボルン大学アニマル・クリニックの・・・・・・博士は嘆く。


さらに、初対面の僕に言葉以上のものを準備していた。
この日のインタビューのために、教授は診察中の皮膚ガンで耳を切除した猫を見せてくれた。


「この猫の耳は、一度皮膚ガンに冒され手術したんだけど、最近、ガンが鼻にもでき始めているんだ」


藤原幸一


皮膚ガンになる前は耳もちゃんとあった。オーストラリアでの皮膚ガンの増加は人間だけではなく、ペットや家畜でも深刻な事態になりつつある。

アニマル・クリニックに連れてこられた
耳を切り取られた猫


オゾンホールの下で
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