10月、アデリーペンギンたちは北の海からいっせいに、
南極の繁殖地に帰ってくる。
この繁殖地には10万羽を超すペンギンが集う
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巣から1kmほど歩いて、
やっと海に到着したアデリーペンギン。
「アデリー」の由来は、
フランスの南極探検家D.デュルビル隊長の
奥さんの名前から
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久々の太陽が氷原を昇り、南極大陸から暗黒の冬が過ぎ去った。
やがて、強い日差しとともに、待ちに待った春がやってきた。
10月、まるまると太ったアデリーペンギンが、繁殖地に次々と帰ってくる。
彼らにとっては7ヶ月ぶりの帰還だ。
「アデリーペンギンは一生を添い遂げる、円満な一夫一婦制である」
と、ずっと信じられてきた。
ところが、最近になって、通説を覆すような新事実が明らかになった。
「アデリーペンギンでは売春があたりまえさ! しかも、売春は貨幣を使って行われているんだぜ!」
と言われたら、どう思います?
貨幣とは、彼らがクチバシでくわえることができる、直径3センチ以下の小石。
南極で小石はきわめて貴重。
巣作りでの唯一の材料でもある。
さらに、小石は冷たい雪解け水から、卵を守るためにもかかせない。
小石はいつも不足していて、ペンギンたちは毎日、喧嘩をしてでも小石を盗みあう。
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「きみの瞳は世界で一番だよ」。
オスはなんとかメスの気持ちを射止めたようだ
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そこで、まだ伴侶をもたない若いオスたちが登場。
「小石いらんかねー」
と、卵を抱いているメスを盛んに誘惑する。
そのときはいつも、メスの連れ合いは漁のため留守。
結局、メスは若いオスから小石を受け取るかわりに、春を売ることになる。
巣に戻ったオスは
「わが愛妻にかぎってまさか?」
とか、
「おれも若いころよくやったもんだー、ガハハ!」
とか、いったいどんな哲学で生きているのやら?
しかし実のところ、ペンギン繁栄のためには、理にかなったことなのかもしれない。
「あーまったく」。
日本によくありそうな話を、南極にまで来て聞かされるとは・・・・・。
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夏の主役は、
やはりアデリーペンギン。
ペンギンの仲間では中ぐらいの大きさで、
体長は70センチ、体重4キロほどだ。
もっとも、生息数は膨大で親鳥500万羽、
幼鳥で1000万羽もいる
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