砂漠が泣いている
少年写真新聞社
 写真と文 藤原幸一

表紙
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 海で生まれた雨雲が海の近くの山をこえる時、大量の雨や雪をふらせた雨雲がなくなり、山の反対側は乾燥した風のえいきょうで砂漠が生まれます。これを「雨陰砂漠」とよんでいます。

 海でつくられた雨雲は、たとえ山がなくても島や大陸の海岸地方で大量の雨をふらせます。その雨雲も長いきょりを移動するうちになくなり、やがて大陸の内陸に砂漠ができます。これが「大陸内部砂漠」です。

 さらに、北極や南極からは、つめたい海流があたたかい赤道の海に向かって流れてきます。つめたい海流はまわりの空気をひやすので、雨雲ができにくくなります。そのえいきょうで、大陸の海岸付近に砂漠ができるのです。


 飛行機から砂漠をながめると、たくさんの白い湖
やぬまを発見できます。湖やぬまといっても、水が
蒸発してしまって、塩のけっしょうだけがのこって
いるのです。

 砂漠で見られる塩はその昔、氷河期に海面が上昇した時や、海のそこがもり上がって陸になったりした時に、陸にとじこめられた海水からもたらされたものです。そういった塩の地形を「ソルト・パン(塩のなべ)」とか「プラヤ(岸)」とよんでいます。

 砂漠にも短い期間ですが、雨がふる季節があり、その時だけソルト・パンは水をたたえた湖やぬまにもどるのです。雨は、土の中にふくまれる塩をとか
しながら、ひくいところにあるソルト・パンに流れこみます。

 今、世界の人口がふえて、人が砂漠に移住してきています。生活するために地下から水をくみあげ、ウシやヒツジが食べる牧草や作物を育てるために、毎日のように砂漠に大量の水をまくことになります。そうすると、まいた水によって地中の土や砂が、まるですいとり紙のような役割をはたし、水にとけた塩がじょじょに地表にしみ出してきてしまいます。

 そのせいで、牧草や作物がうまく育たなくなってしまうのです。塩におかされた土地がふえてしまう、悪じゅんかんが起きています。


冬から春にかけて砂漠に雨がふったり、きりが立ちこめたりすると、想像もつかない景色があらわれます。乾燥しきった、からからの砂漠一面に、色とりどりの花畑が広がるのです。
それらは、土や砂の中で種としてねむり、根や多肉の茎で生きのびてきました。

 砂漠の花畑を見わたすと、かれんな花のどれもが、地にはりつくようにしてさいているのに気づきます。
かわききった砂漠では、茎を成長させる水や養分も、時間もないのです。大急ぎで花をさかせて新しい種をのこし、すぐにかれてしまいます。

 日本の花屋でもよく見かけるアルストロメリアやマツバギク、アロエ、プロテア、ガザニアなどのように、人気がある園芸植物の多くが、実は砂漠にさく植物なのです。砂漠で育つ植物は、水も少なくてすむので育てやすく、世界中に広まっています。
遠くの砂漠も、ぼくたちのくらしと、意外なところでつながっているのです。


 オーストラリアは世界でもっとも乾燥した大陸です。オーストラリア東側にグレートディヴァイディング山脈が南北につらなり、山脈の西側に「アウトバック」という乾燥した大地が広がっています。

 大陸の乾燥している一帯を、オーストラリア砂漠とよんでいます。その広さは、日本全土の14 倍にもなります。大陸全体の70%をしめていて、砂丘と塩の湖、水が流れていない川が広がります。

 北の熱帯で生まれた雨雲が南に向かい、海岸地域に雨をふらせ、さらに南に流れると雨雲が消えてしまい、内陸から乾燥気候にかわります。また、南極からやってくるつめたい西オーストラリア海流が、大陸の西海岸を北に向かって流れています。そのえいきょうで、海から雨雲が生まれにくくなり、海岸地帯も砂漠になっているのです。

 大陸の中央部を中心に、乾燥した空気のかたまりが1年中大陸をおおっています。大陸の中心へ向かうほど乾燥していて、年間降水量が100mmにもなりません。大陸北部の砂漠はとくに暑く、年間降水量が500mmほどですが、水分の蒸発量がとても多いのです。南部の砂漠は降水量が300mmと少なくなりますが、蒸発量もとても少ないのがとくちょうです。

  

ナマクワランドは、アフリカのナミブ砂漠の南から南アフリカ北西に広がる、南北1000km 以上の岩石砂漠です。南アフリカの砂漠をリトル・ナマクワランドとよび、ナミブ砂漠南側のグレイト・ナマクワランドとわけています。

 ナマクワランドとは「ナマ族のくらす土地」。ナマ族はこの土地でウシとヤギを放し飼いしながら生活しています。年間降水量わずか150mmほどの不毛の土地ですが、南米アタカマ砂漠と同じように、春をむかえる9月に花畑があらわれます。

 早朝、春のおとずれを知らせる「きり」が海からやってきます。雨の少ないこの地では、きりで植物が芽生え、花をさかせるのです。岩石砂漠に花をさかせる野生の植物は4000種にものぼります。

 ナミブ砂漠は、北はアンゴラとの国境付近から始まり、長さ1,288km、東西ははば48kmで、主に砂砂漠です。今から5500万年? 8000万年前から大きくなったり小さくなったりをくり返しながらも、世界でもっとも古い砂漠として存在してきました。
ナミブ砂漠とナマクワランドを合わせると、日本全土の1.3 倍ほどです。

 最近、都市での人口がふえすぎて、たくさんの人が砂漠に移り住んでいます。移住してきた人たちは地下水をくみあげて、家畜や作物を育てて生活しているのです。大量にまかれた水により塩の害が起き、ふえすぎた家畜は、少ない砂漠の植物を食べつくしています。これにより半乾燥だったところが、乾燥地帯におきかわっています。

 

毎年春ころになると、西から黄砂が日本にとんでくることが話題になります。中国の内モンゴルや、モンゴル共和国に広がる草原の砂漠化が原因とみられています。中国では砂漠化が、北京にまでおよんでいるのです。
アフリカのサハラ砂漠南部にある、半砂漠地帯であるサヘルでの砂漠化も深刻です。

 砂漠化は世界中に広がっています。現在、砂漠になりそうな地域を数えると、地球上のおよそ4分の1になるといいます。国際連合の調査では、毎年約6万?もの広さで砂漠化が進んでいるのです。

 なぜ砂漠が広がっているのでしょう。その原因の1つに地球の温暖化があります。また、砂漠でふえつづける家畜が植物を食いあらし、二度と生えてこなくなっています。草原や少ない森の破壊によって、野生動物もいなくなっているのです。さらに、砂漠に水をまくことによって地中からあらわれる塩によって、何も作物が育たなくなってしまいます。どれも、人によってひき起こされたことです。

 砂漠化により人がくらせなくなり、うえや病気が広まって、生活がなりたたなくなってしまいます。それが原因で、水や食料を手に入れるためにあらそいが起きたりすることが心配されています。




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